こんにちは、ルレムラ(@luremura)です。
医師のつくった「頭のよさ」テストの感想文の後編です。
後編は、私が一番点数の低かった「6.聴覚優位者・聴覚&音タイプ」にまつわる「音痴と空間処理能力」や「モノマネ」を考察した内容です。
前編はコチラ。タイプ別の認知特性や自分の優位認知特性に触れています。
ちなみに私の優位特性は「言語映像タイプ」でしたよ!
医師のつくった「頭のよさ」テストの本書はコチラ。
医師のつくった「頭のよさ」テストで「聴覚優位者・聴覚&音タイプ」が悪かった
私は、他の特性のチェックテストで大体普通が多かったんですが、点数が一番ひどかったのは「6.聴覚優位者・聴覚&音タイプ」でした。THE・音楽家はこのタイプだそうな。
実際に私、めちゃめちゃ音感が悪いんですよ。でも歌うのは好きなんです。ひどい矛盾。
歌うと半音ずれたり、ボイストレーニングの先生からも
4分の1くらいずれてる
と言われたことも。
でも私は音痴というとちょっと違うみたいでして、ボイストレーニングの先生曰く「こういう風に半音ズレるって人ってたくさんいるから、訓練したら直るよ」とのこと。
どうも私のようなタイプの音痴は、歌を歌うと「バッチリはまっているとき」と「そうでないとき」との落差が大きいようで。
実際、「はまっているとき」「そうでないとき」の2曲を聴いた人から、「違う人が歌っているようにしか聴こえない」と言われたことがあるほど。
それほど、良いときと悪いときの差が激しいようです…。
苦手な認知特性から考えた、音痴と空間処理の関係性
この「聴覚&音タイプ」で思い出したのが、音感と空間処理能力の関係性でした。
というのも、以前当ブログでも登場した「脳には妙なクセがある」。
こちらの本では「音痴の人は空間処理能力が低い」と言及されています。
本書の内容で興味深いのは、
- 音痴は遺伝の影響が強い
- 音痴のデータ数を見ると半数以上は女性
- オーケストラ楽団員たちは空間処理能力が高い
ということ。
確かに「男性は一般的に空間処理能力が高い」と聞いたことありませんか?
音痴の半数以上は女性とのことですが、数学的知覚と音楽的知覚を感じる脳の分野は重なっていると考察されており、「男性は数学(空間処理能力)が得意な人が多い=おのずと音楽で音痴が少ない」といえるわけです。
実際、私はバックの駐車が苦手。数学の才能もゼロ。
数学の才能ゼロエピソードとして、高校1年生の1学期のテストで赤点を採ったことあるほどなんです…。
なので音楽と数学の関係性って、かなーり頷けるのですね。
「聴覚&音タイプ」だからって「モノマネ」も得意なのか?
ただですね、「医師のつくった~」の「6.聴覚優位者・聴覚&音タイプ」の解説でちょっと気になる点がありました。
というのが、「6.聴覚優位者・聴覚&音タイプ」は「モノマネが得意」となっているんですよ。
(脳内に入力された)音を、自分の声として発生(出力)できる人もいて、知り合いの人の話し声、動物の鳴き声など聞いた音をそのまま再現できます。
(医師のつくった「頭のよさ」テストより引用)
要するに、 医師のつくった「頭のよさ」テストでは「話し声も音楽的に捉えて」書かれてあるのです。
さて、ここで音痴の私の登場です。
私、歌を聞いたときに、まずその人の歌い方のマネから入りますし、人のしゃべり方とかちょいちょいモノマネをすることがあるんですね。それで「似てる」と言われることもあります(精度はともかくとして)。
なので医師のつくった「頭のよさ」テストで語られている「6.聴覚優位者・聴覚&音タイプ」=「モノマネが得意」は、ちょっと違うんじゃないかとギモンフ。
対して「脳には妙なクセがある」では、
音痴は感覚器の機能不全ではありません。
(中略)
つまり、音そのものは正常に処理されています。
(中略)
実際、音痴の人でも、会話で語尾の音程を微調節し、「もう終わりました(断定形)」と「もう終わりました?(疑問形)」の微妙な違いを言い分けることができます。こうしたことから、おなじ発声であっても、歌と言語ではまったく異なる能力を活用していることがわかります。
(「脳には妙なクセがある」より引用)
と、医師のつくった「頭のよさ」テストに対して「声を聞くこと」は、全く逆の指摘がされています。
うん、私の経験上これは「脳には妙なクセがある」のほうが正しいんじゃないかな~と思う。
ちょっとわかりにくいと思うので、両者の主張をまとめました。
- 「医師のつくった『頭のよさ』テスト」だと、モノマネがうまい=音楽の感覚(聴覚や音感)も優れていると解説。つまり「モノマネが上手い=歌も上手い」と捉えている
- 「脳には妙なクセがある」だと、言葉と歌を聞き分ける能力は別。つまり「モノマネが上手い=音感が優れているとは限らない」と捉えている
実際、人の脳には、モノマネをすることで技術が発達していく機能が備わっています。
「音として捉えるか」「言葉として捉えるか」でまた異なるんじゃないでしょうか。
あと今思ったのが、母語以外の言葉を習得するときって、はじめの時点でまだ「言葉として捉えてない(正確には捉えられない状態)」から、「音として捉える力が高い人」が有利なんじゃないかな。
なので、語学ですぐに母語以外の言葉をしゃべれるようになる人こそ、 医師のつくった「頭のよさ」テストで語られている、「聴覚&音タイプ」が優位なんじゃないかな~なんて思ってみたり。あくまで推測ですが。
とにかく、医師のつくった「頭のよさ」テストでの人物の形態模写や歌モノマネに関しては、「聴覚&音タイプ」=優位 で片付けてしまうのは、ちょっと早合点?と思いましたね。
脳の認知特性は人の個性
ここまで感想を述べてきましたが、この認知特性の違い、簡単に言うと脳の違いです。
一人ひとり個性があるというのは、物事の捉え方が違うということ。脳のインプットに使う経路が異なれば、アウトプットも当然違う。
何かとメディアで取り上げられる発達障害も、大きな視点で見れば「脳の個性」と言われてますよね。
私も、とある感覚が障害の一種なんじゃないかと苦しめられていた時期があったんですが、 医師のつくった「頭のよさ」テストのように、「脳が違うから当然なんだ」と捉えるようになってから大分救われました。
私の経験上、この特性の点数のバラツキが大きい人ほど、より個性的であったり不器用な生き方をしているんじゃないでしょうか。
実際に、波乱万丈な生き方をしている友人に本書のテストをやってもらったところ、かなりバラツキが大きかったです。
でも結果として彼女は、得点の大きかった項目で活躍するまでになりました。他の部分が劣っていると、おのずと他の優性部分が発達せざるを得なくなるんでしょう。
あと、物を教えたり人を教育する立場の人はこの本を読んでおいてほしい。子育てをする親にも読んでほしい。
どこかで見たレビューに、実際の知能指数、いわゆる「本当の意味での頭の良さ」とは違う、と書かれてあったような気がするんですが、確かにノーベル物理学賞や大学で主席を取ってしまうような、脳そのものの知能指数をこの本ではかれるのか?となると、ちょっと違う気がします。
ただこういう「認知特性」に焦点を当てる本が登場しているということは、それまで一つの観点からしか見られなかった脳の尺度が、多方面から捉えられるようになってきた、といえるでしょう。
今後の子どもの教育や新社会人の企業教育にも、こういう考え化がどんどん浸透していくことを願って止みません。
なんなら私はこういう本を通じて、子どもが自分に自信を持って、この国を豊かにしていってほしいな~なんて考えてしまいましたよ。
願わくば、認知特性の違いだけで、学校の先生や自分の親から「バカだ」って言われて怒鳴られて、人知れず傷付く子がいなくなってほしいものです。と、経験者は語る…。
読んでいただきありがとうございました!
医師のつくった「頭のよさ」テストはこちら。
「脳には妙なクセがある」はこちら。
この本の脳の認知特性という考え方のおかげで、私の「人の言っていることがすぐに理解できない」を、脳の個性だと捉えられるようになったお話のシリーズ。
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